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うぐいす

そのうぐいすは他のうぐいす達と同じように春に生まれた。

歌うことを教えられ、歌えなくなったら天に昇り
虹を紡ぐのがうぐいすの一生だ、と教えられた。

うぐいすは他のどのうぐいすより上手く歌えた。

ある日うぐいすは見た。
年老いて地面に死んでいるうぐいすを。

あのうぐいすは天に上らなかったのだ。
あんなみすぼらしい姿で死ぬのは嫌だ。
自分はいずれ虹を紡ぐ日が来るまで歌い続けるのだ。

ある春、小さな湖の淵で歌を歌う男女をうぐいすは見る。
うぐいすも歌に合わせて歌うと人間の男女は喜んでくれた。
毎年そうして男女を見てきたがある春、二人は悲しみにくれていた。
男が戦争に行ってしまうのだ。

男は言う。
うぐいすが来る間、私は死なず必ず戻ってくる。
だから待っていてほしい。

それから毎年うぐいすと女は男が戦場から戻るのを待つ。

しかし数年経っても男は戻らない。
うぐいすはもう年で歌が満足に歌えなくなり、
他のうぐいす同様に虹を紡ぐため天に上った。

しかし春になりうぐいすが来ないことを知った女は
もう愛しい男が死んだのだと思い、湖に身を投げようとする。

天からそれを見てたうぐいすはもう一方から、年老いてはいるが
懐かしいあの男が戻ってきてるのを見た。

『まだ死んではいけない!』

うぐいすはそれを知らせるために女の元へ行くため地上に下りた。

女の手の上で絞り出すように最期の歌を歌ううぐいす。
そこに男が戻ってきた。


『ああ、うぐいす!うぐいすは約束を忘れていなかったのだ』


そしてうぐいすは力尽き息絶える。
地上に下りたうぐいすはもう天には登れない。



...と、いう話を思い出しました。

何故ならベランダの桜でうぐいすが鳴いていたからです(笑)

この話は『立原えりか』の『うぐいす』って話です。
最後はほんのり涙の出る作品が多い童話なんですよ。

by kanahyskoa | 2010-04-08 09:31 | 日常